947(天暦元)年に村上天皇の勅使が奉納したというサトザクラの一品種、八重桜(子菊桜)で「会津の五桜」のひとつ。福島県緑の文化財登録第1号、猪苗代町指定天然記念物。「高一丈六尺余、枝葉二丈計を庇ひ極めて老樹なり、開花の時濃香馥郁佗樹に異なり、花色鹿の毛彩に似たり、故にこの名あり」(新編会津風土記)とある。花の香りがよく、開花時は白色で、その後ピンク色に変わり、最後は鹿の色に似ることから「大鹿桜」と呼ばれる。花の中心めしべが変化し二、三の葉が生じる。花びらも七十数枚になるという珍しい桜である。標高580㍍の高地にあるため、福島県内で最も遅く咲く桜の名木の一つ。開花期間はゴールデンウイークから5月中旬。長い間咲いていることから別名「翁桜」と呼ばれる。
会津の五桜 |